「例のプール」の正体とは?新宿の聖地Hanazono Roomを徹底解剖
青く澄んだ水面、頭上に広がるガラス張りのサンルーフ、そして吹き抜けに吊るされた豪奢なシャンデリア。インターネットを日常的に利用する人であれば、一度はこの景色を切り取った画像を目にし、思わずニヤリとした経験があるはずです。ネットスラングとして定着した「例のプール」は、単なる内輪ネタの領域を完全に飛び越え、テレビの全国放送や有名アーティストのMVに登場するたびにSNSのトレンドを席巻する日本特有の巨大なカルチャーアイコンへと成長しました。
しかし、「実際どこにあるのか」「一般人でも入れるのか」「今も現存しているのか」といった実態については、断片的な噂ばかりが先行しています。本稿では、取材データと運営会社の公式公表情報をもとに、長年抱かれてきた疑問の真相を白日の下に晒します。新宿のオフィス街に実在する有名スタジオの現在地から、一般利用における具体的な予約フロー、利用料金の現実的なシミュレーションまで、その全貌を余すところなくレポートします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「例のプール」の正式名称は株式会社ピースタジオが運営する高級ペントハウススタジオ「Hanazono Room」である。
- 要点2:所在地は東京都新宿区新宿1丁目のマンション「サンハイツ新宿」最上階に実在し、2026年現在も現役で営業を継続している。
- 要点3:プロの映像業界だけでなく一般人でも予約・利用が可能だが、温水プール運用や機材パックを含めると数十万円規模の明確な資金計画が必要となる。
ネットの集合記憶「例のプール」とは何か?元ネタと爆発的拡散の歴史
ネットカルチャーにおいて、固有名詞を出さずとも「あの場所」と認識される空間は極めて稀有です。いわゆる「例のプール」の元ネタは、2000年代半ばから成人向けビデオ(AV)のロケーションとして爆発的に採用されたことに端を発します。都心の一等地にありながら、天高6mの開放的な吹き抜け構造とラグジュアリーな室内プールを兼ね備えたスタジオは他になく、各メーカーの撮影クルーがこぞってロケ地として指名しました。
当時、黎明期にあった画像掲示板や黎明期のソーシャルメディアにおいて、作品タイトルや出演者を伏せたまま「この場所に見覚えがあるやつは正直に手を挙げろ」といった文脈でプール周辺の画像が繰り返し投稿されました。記号化されたこの空間は、男性ユーザーを中心とするネット民の間で一種の「共犯関係」を生み出し、「言わなくても分かる聖地」として定着していった背景があります。
この閉じたミームが一般層へ突き抜ける決定打となったのが、地上波テレビ番組による相次ぐ「確信犯的」な起用でした。NHKの生活情報番組『ためしてガッテン』でプールサイドを使った検証実験が放送された際や、日本テレビ系列『月曜から夜ふかし』でスタジオそのものが取り上げられた際には、Twitter(現X)のサーバーが悲鳴をあげるほどのお祭り騒ぎを記録しました。サブカルチャーの密室からマスカルチャーの表舞台へと躍り出たことで、なぜ有名になったのかという文脈自体が、メディアのパロディ精神を象徴する現象へと昇華したのです。

正式名称は「Hanazono Room」|新宿に潜むスタジオの基本情報と住所
ネット上では都市伝説のように語り継がれることも少なくありませんが、この施設は完全に合法かつオープンに運営されている商用撮影スタジオです。例のプールの正式名称は「No.136 Hanazono Room(はなぞのルーム)」。数多くのハイクオリティなハウススタジオを展開する株式会社ピースタジオ(P-Studio)が管理・運営を手がけています。
気になる物理的なロケーションですが、所在地は東京都新宿区新宿1丁目19-10。東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前駅」の大木戸門方面改札から徒歩数分という、極めて利便性の高い都心部に位置しています。靖国通りからほど近い閑静な区画に建つ複合ビル「サンハイツ新宿」の最上階(ペントハウス・メゾネットフロア)が、あの誰もが知る空間の正体です。
外観はごく一般的なヴィンテージマンションに見えるため、建物の前に立っても「本当にここにあのプールがあるのか」と疑ってしまうほど街並みに溶け込んでいます。しかし、エレベーターで最上階へ上がりスタジオの重い扉を開けると、そこにはネットで幾千回と見てきたあの吹き抜けリビングと、エメラルドグリーンに揺れるプールが忽然と姿を現します。スタジオ仕様としては天高6mのペントハウスフロアに温水対応のプールが鎮座し、自然光が降り注ぐガラスブロックの天窓、象徴的な大型シャンデリアが設置され、都内屈指の採光効率を誇るプロユースの空間として設計されています。
一般人でも利用可能?気になる予約方法と利用料金プランの実態
結論から言えば、一般人であってもスタジオをレンタルすることは完全に可能です。利用にあたって特別な法人登録や業界関係者であることの証明は義務付けられておらず、所定の手続きと利用規約を遵守できれば、誰でもあのプールサイドに立つことができます。
予約方法は、運営元であるピースタジオの公式サイト上にある予約・空き状況確認フォーム、または電話窓口を通じて行います。通常は仮キープ(仮予約)を入れた後、利用日の規定日数前までに正式決定(決定打診)を行い、事前の銀行振込またはクレジットカード等で決済を完了させるフローが一般的です。
ただし、一般人が足を踏み入れる上で最大のハードルとなるのが利用料金の壁です。プロ向けの本格的なハウススタジオであるため、一般的なレンタルスペースのような「1時間数千円」という価格帯では決して利用できません。スチール(静止画)撮影とムービー(動画)撮影で料金体系が異なり、最低利用時間(通常3時間〜)やパック料金が設定されています。
| 項目・プラン | 詳細・数値データ(目安) | 都内同等ペントハウス相場 | 編集部の見解・実用性評価 |
|---|---|---|---|
| スチール撮影(1時間) | 約23,000円〜28,000円前後 | 18,000円〜25,000円 | 都内一等地・自然光ペントハウスとしては標準的。個人単独利用には割高。 |
| ムービー撮影(1時間) | 約30,000円〜36,000円前後 | 25,000円〜35,000円 | MVやCM撮影チームにとっては極めて妥当。同録対応には防音確認が必須。 |
| お得なパックプラン(3〜6時間) | 約100,000円〜250,000円前後 | 120,000円〜300,000円 | コスプレ合わせやオフ会等の合同企画で頭数を揃えれば1人あたり数千円〜1万円台に抑制可。 |
| 温水利用オプション | 別途給湯費用(数万円規模) | 同等設備スタジオ僅少 | 実際に水へ浸かる演出を行う場合は必須。冷水期は必ず事前相談が必要。 |
数字だけを見ると目を見張る高額設定に感じられますが、10名から15名規模の撮影会やファンコミュニティによる共同出資であれば、1人頭1万円から1万5千円程度の負担で現実的に貸し切ることが可能です。そのため、近年では個人の記念撮影だけでなく、コスプレイヤーの大型合同合わせの舞台としても根強い需要を保っています。

【実態検証】地上波テレビや撮影会を賑わす現場のリアルと利用者の声
SNSやネット掲示板を調査すると、実際にHanazono Roomを訪れたクリエイターやモデルたちによる生々しい証言が多数集まります。彼らの証言から浮かび上がるのは、画面越しに見る幻想的な広さと、実際の物理空間とのギャップです。
「広角レンズ越しに見ると豪華客船のリゾートプールのようだが、肉眼で見ると驚くほどコンパクト」「だが、光の回り込みと水面の反射が美しすぎて、カメラマン目線では完璧な計算を感じる」。実際にスタジオを借りてポートレート撮影を行ったプロカメラマンは、現場の第一印象をこのように語っています。プール自体の水深やサイズは一般的な学校のプールなどとは根本的に異なり、あくまで「室内装飾用のプライベートプール」というスケール感です。
また、過去に開催されたコスプレ撮影会の参加者の手記には、「入った瞬間、参加者全員が『うわ、本当にあのプールだ!』と歓声を上げてスマホで撮影を始めた。作品の世界観を再現するという目的以上に、スタジオそのものがエンタメのアトラクションとして機能していた」という記述が見られます。大人たちがこぞって特定の背景に興奮し、同じ構図で写真を撮り合う体験は、聖地巡礼の究極系とも呼べる独特の高揚感を生み出しています。
一般に知られていない盲点とネットの誤解
知名度があまりに高すぎるがゆえに、ネット上には事実とは異なる誤解や都市伝説が少なからず流布しています。トラブルを避け、安全に利用・言及するために知っておくべき決定的な盲点を整理します。
誤解1:成人向け作品の撮影専用スタジオである?
これは完全な誤解です。Hanazono Roomはあくまでピースタジオが保有するラインナップの一つであり、ファッション誌のグラビア、メジャーアーティストのミュージックビデオ、大手企業のテレビCM、さらには地上波ドラマのワンシーンまで、多種多様な一般商業メディアの撮影に幅広く貸し出されています。特定のジャンルに特化した施設ではなく、極めてプロフェッショナルな汎用ハウススタジオです。
誤解2:プールには常に温水が張られていて飛び込める?
「行けばいつでも泳げる」と思われがちですが、これも現場の運用実態とは異なります。プール内の水は清掃や衛生管理のサイクルで抜かれている時期もあり、温水にするためには事前申し込みと専用のボイラー給湯料金が別途発生します。また、ダイビングや激しい水しぶきを上げる行為は、精密機材への漏水や階下への騒音被害を防ぐために厳しく制限されています。飛び込んで遊ぶためのプールではなく、「水景を美しく演出するための撮影ステージ」であるという認識が不可欠です。
誤解3:周辺は歓楽街のど真ん中である?
「新宿」という地名から歌舞伎町のネオン街を連想する人が多いですが、前述の通り実際の所在地は新宿1丁目のオフィス・住宅混在エリアです。近くには新宿御苑の緑が広がり、靖国通り沿いには落ち着いたビジネスビルが立ち並ぶ穏やかな環境です。近隣住民や他のテナントへの配慮が厳格に求められるエリアであるため、大声での騒音やスタジオ外での迷惑行為は固く禁じられています。

なぜこれほど愛されるのか?メディア文化論から紐解く「共通言語」としての引力
なぜ日本社会は、たかだか一室の撮影スタジオのプールにこれほどまでの執着と愛着を抱き続けるのでしょうか。この現象をメディア文化論および現代のコミュニケーション心理学の観点から読み解くと、極めて興味深い構造が浮き彫りになります。
日本におけるインターネット空間、とりわけ初期の電子掲示板文化では、「文脈を共有している者同士の隠語(ジャーゴン)」が共同体の一体感を強める最大の接着剤でした。「あのプール」という極限まで抽象化された代名詞だけで通じ合うことは、ネットの深淵に触れている仲間であるというアイデンティティの確認作業に他なりませんでした。
さらに、人間関係論における「共有された気まずさのユーモア化」という心理メカニズムも働いています。本来であれば公の場で口にすることが憚られる成人向けコンテンツの記憶を、建築空間という無機質な客体に転嫁することで、誰もが害のない笑い話として共有可能なパブリックなネタへと浄化させたのです。テレビ局のディレクターが番組のワンカットにこのプールを忍び込ませるのも、視聴者との間に「気づく人だけ気づいて笑ってほしい」という高度なメタコミュニケーションを仕掛けているからに他なりません。
【プロの結論】利用をおすすめできる人・避けるべき人の判断基準
現在のHanazono Roomは、単なる好奇心で訪れるにはそれ相応のコストと準備を要する本格スタジオです。利用を検討している方へ向けて、編集部としての明確な判断基準を提示します。
- 利用をおすすめできる人:
- 明確なコンセプトを持った写真集・コスプレROM・自主制作映画等のクリエイター。
- 10名以上の仲間を集め、1人あたりの費用負担を適正に分担できる幹事力のあるグループ。
- ネットカルチャーの文脈を理解し、あの象徴的な背景をパロディやオマージュとして昇華させたい表現者。
- 利用を避けるべき・慎重になるべき人:
- 単に「中を見てみたい」「記念に泳ぎたい」というレジャー感覚の個人(費用対効果が著しく見合いません)。
- スタジオ規約やマンションの近隣配慮、完全原状復帰のルールを守れない団体。
- 事前の照明設計や広角レンズの準備なしに、スマホ1台で手軽に映える写真を撮ろうとしている層。
【例のプール】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:現在もHanazono Roomは営業していますか?取り壊されたという噂を聞きましたが?
A1:2026年現在も株式会社ピースタジオの管理下で通常通り稼働を続けています。ネット上ではビルの解体やスタジオ閉鎖のデマが定期的に流れますが、公式ホームページにもスタジオNo.136として堂々と掲載されており、日々ロケ予約を受け付けています。
Q2:一般の個人が1人だけで見学することはできますか?
A2:原則として一般向けの無料見学や観光ツアーのような枠組みは存在しません。プロ向けのロケハン(ロケーションハンティング/事前下見)は用意されていますが、将来的な本予約を前提とした業務確認用であり、時間制限や立ち入り条件が定められています。個人であっても正規の料金を支払って利用枠を予約する必要があります。
Q3:プールの中に実際に入って泳ぐことは可能ですか?
A3:撮影の一環として水に入ること自体は禁止されていません。ただし、遊泳用の大型プールではないため水深は浅く、潜水や飛び込みは危険防止のため禁止されています。また、冬場などに温水を使用する場合は別途給湯オプションの申し込みが必要となるため、予約時に必ず利用目的をスタジオ側へ伝えておく必要があります。
Q4:スタジオの利用料金はクレジットカードで支払えますか?
A4:運営会社の決済規定に従いますが、近年のピースタジオでは法人・個人を問わず事前振込のほか各種オンライン決済やクレジットカードに対応しています。予約確定時の案内メールに記載された決済期日を過ぎるとキャンセル扱いとなる場合があるため注意してください。
まとめ:ネットミームを超えた撮影文化の象徴として
「例のプール」という俗称で日本中に知れ渡った新宿のペントハウススタジオ「Hanazono Room」。それはアンダーグラウンドな映像作品の舞台から始まり、ネット民の集合知によって記号化され、ついには地上波メディアをも巻き込む巨大なカルチャーへと成長した、日本のデジタル史における稀有な空間遺産です。
2026年の今もなお、その青い水面と吹き抜けのリビングは色褪せることなく、多くの映像作家やクリエイターたちのインスピレーションを刺激し続けています。もしあなたが仲間を集め、あの聖地の扉を開く機会があるならば、ぜひカメラのファインダーを通じて、画面越しでは決して味わえない「本物の光と影の設計」を体感してみてください。そこには、単なるネットの笑い話を超えた、日本の撮影スタジオ建築が誇る確かな美学が息づいています。 (出典: 例 の プール(Yahoo!ニュース))