ADHDの本おすすめ2026年版|大人・子ども・親向けの選び方と薬の論点を徹底解説
ADHDの本を探すと、医学的な解説書から、子どもの発達を支える育児書、大人の仕事や人間関係を改善する実用書、診断や薬物療法に疑問を投げかける評論まで、さまざまな種類が見つかります。選択肢が多いからこそ、自分や家族が何に困っているのかを整理してから読む本を決めることが大切です。
2026年は、大人のADHDを扱う実用書に加え、発達障害の基礎知識を学べる新刊や、子どもへのラベリングを考え直す翻訳書も選択肢に入ります。この記事では、出版社の書誌情報、厚生労働省の法令、米国国立精神衛生研究所(NIMH)の脳研究、日本小児神経学会の解説などを手がかりに、ADHDの本のおすすめ、価格、対象読者、診断基準の変遷、薬物療法をめぐる論点を整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 本選びの基本:大人の自己理解、子どもの発達支援、保護者の対応、医学的な診断・治療の理解では、適した本が異なる。
- 2026年の注目書:『大人のADHD「対人関係」マネジメント』や『どうする子どものADHD 薬を飲ませる前の101の対処法』など、目的別に検討できる書籍がある。
- 診断と治療の注意点:DSM-5でADHDは神経発達症群に分類された。診断は本だけではできず、薬物療法も効果と副作用を個別に評価する必要がある。
【2026年版】ADHDの本おすすめは目的別に選ぶのが正解
ADHDの本を選ぶ際、最初に確認したいのは、医学的な知識を得たいのか、日常生活の困りごとを減らしたいのか、それとも子どもとの接し方を見直したいのかという点です。同じADHDを扱っていても、専門書と実用書では得られる情報が大きく異なります。
以下では、出版社が公表している書誌情報や内容紹介をもとに、2026年10月時点で検討しやすい本を紹介します。おすすめの順番は売上順位や読者評価のランキングではなく、用途との相性を基準にしています。
大人の自己理解なら『大人のADHD』と『対人関係』マネジメント
『大人のADHD――もっとも身近な発達障害』(岩波明著、筑摩書房)は、ADHDの症状や診断、治療、ほかの精神疾患との関係を体系的に理解したい人に向く入門書です。2015年刊行の定番書で、出版社の掲載価格は1,012円(税込)。まず全体像をつかみたい人に適しています。
一方、職場や家庭でのコミュニケーションに悩んでいる人は、司馬理英子監修の『大人のADHD「対人関係」マネジメント』(講談社)も候補になります。2026年4月23日発売、100ページ、定価1,650円(税込)。対人関係に焦点を当てた比較的新しい一冊です。医学的な基礎知識を網羅する本というより、日々の人間関係を見直すための実用書として検討するとよいでしょう。
ADHDの特性や発達障害の仕組みを理解するなら
子どもの様子を理解したい保護者や、ADHDとほかの発達障害の違いを知りたい人には、榊原洋一監修の『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』(講談社)がおすすめ候補です。2024年刊行、100ページ、定価1,650円(税込)。脳機能と特性の関係、診断、学校や家庭での支援などを、図解を交えて学べます。
2026年3月25日発売の『発達障害を正しく知る』(松浦有佑著、幻冬舎)も、より広い視点から発達障害を学びたい人に向いています。定価は1,056円(税込)、256ページ。ADHDだけを対象にした専門書ではありませんが、発達障害をめぐる誤解や診断名への疑問を整理する際に役立つ選択肢です。
子どもの気持ちや日常生活を支えるなら
『ADHDの子どものためのマインドフルネス』(シャロン・グランド著、タイア・モーリー絵、芦谷道子訳、創元社)は、子どもが自分の注意や感情と付き合う方法を学ぶための本です。2024年9月2日刊行、128ページ、定価2,420円(税込)。物語やイラストを通じて、落ち着くことや注意を向けることを考えたい家庭に適しています。
ただし、マインドフルネスを扱う本だけで、学校での困難やADHDの中核症状が解決するわけではありません。子どもが実際に困っている場面を確認し、必要に応じて学校や医療・発達支援の専門家と連携することが大切です。

【本の比較】2026年の新刊・定番書を価格と対象読者で整理
ADHDの本は、1,000円前後の新書から、数千円の専門書まで価格帯が広くなっています。一般向けの入門書と医療従事者向けの専門書を同じ基準で比べると、必要以上に高価な本を選んだり、知りたい情報にたどり着けなかったりすることがあります。
次の表は、出版社の書誌情報をもとにした比較です。価格は各出版社が掲載する税込定価で、実売価格、電子版の価格、中古本の価格とは異なる場合があります。
| 書名・著者 | 価格・刊行時期 | 向いている読者 |
|---|---|---|
| 『大人のADHD――もっとも身近な発達障害』岩波明 | 1,012円/2015年 | 大人のADHDの症状、診断、治療を基礎から知りたい人 |
| 『大人のADHD「対人関係」マネジメント』司馬理英子監修 | 1,650円/2026年4月 | 人付き合いやコミュニケーションの困りごとを整理したい人 |
| 『発達障害を正しく知る』松浦有佑 | 1,056円/2026年3月 | ADHDを含む発達障害の基礎知識や社会的な誤解を学びたい人 |
| 『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』榊原洋一監修 | 1,650円/2024年10月 | 子どもの特性や診断、家庭・学校での支援を知りたい保護者 |
| 『ADHDの子どものためのマインドフルネス』シャロン・グランド | 2,420円/2024年9月 | 子どもと一緒に注意や感情への対処を学びたい家庭 |
| 『どうする子どものADHD 薬を飲ませる前の101の対処法』トーマス・アームストロング | 2,640円/2025年11月刊行 | 子どもの個性や環境、診断名による扱いの変化を考えたい保護者 |
| 『大人のADHDサポートブック みんなのデイケアプログラム』 | 4,180円/2026年7月 | 具体的な支援プログラムやワークを知りたい当事者・支援者 |
| 『ADD/ADHDという才能』トム・ハートマン | 旧版の掲載定価1,980円/2003年 | ADHDの特性を別の角度から捉える考え方に関心がある人 |
特に2026年の新刊を重視するなら、『大人のADHD「対人関係」マネジメント』と『発達障害を正しく知る』は、比較的手に取りやすい価格帯です。一方、『大人のADHDサポートブック』は4,180円と高めですが、専門的な支援プログラムを学びたい人に向く内容です。
トム・ハートマンの『ADD/ADHDという才能』については、出版社の書籍情報で絶版とされています。掲載価格は過去の定価であり、現在の購入価格や在庫を保証するものではありません。中古本を探す場合は、版や状態、価格を確認してください。
なお、書店のレビューや比較サイトの評判は、読みやすさや実践のしやすさを判断する参考にはなりますが、医学的な正確性を直接保証するものではありません。著者の専門性、参考文献の有無、刊行年、実際に知りたい内容が扱われているかを併せて確認することが重要です。
【大人向け・子ども向け・保護者向け】悩み別に本を選ぶ方法
ADHDの本を読んでも、知識が増えるだけで日常生活の困りごとが変わらなければ、期待した効果は得にくくなります。読む目的を具体的に設定し、実際の行動や周囲との関わりに結び付けられる本を選ぶことがポイントです。
大人向け:自己理解と仕事・人間関係の工夫
大人のADHDを理解したい場合は、「自分はADHDなのか」という疑問と、「今の生活をどう改善するか」という課題を分けて考えると、必要な情報を見つけやすくなります。
- 特性を理解したい:『大人のADHD』など、症状・診断・治療を体系的に解説した本から始める。
- 対人関係を改善したい:具体的な会話や職場での対応を扱う実用書を選ぶ。
- 仕事の段取りや忘れ物に困っている:タスク管理、時間管理、環境調整など、実行可能な方法を扱う本を優先する。
- 診断を検討している:自己チェックの結果だけで判断せず、診断基準と専門家による評価の違いを解説した本を選ぶ。
大人のADHDは、単に集中力がない、忘れ物が多いという特徴だけでは判断できません。睡眠の問題、不安、抑うつ、ほかの発達特性などでも似た困りごとが生じることがあります。自己理解のための読書と、医療機関での診断は区別しておきましょう。
子ども向け:特性を責めず、必要な支援を探す
子ども向けの本では、落ち着きのなさや忘れ物を単純に「やる気がない」「しつけができていない」と解釈しないことが重要です。一方で、すべての行動をADHDのせいにしてしまうと、子どもの気持ちや個々の事情を見落とすおそれもあります。
保護者が本を読むときは、子どもが困っている場面を具体的に整理してください。例えば、宿題を始められない場合、課題が多すぎるのか、指示が曖昧なのか、集中を妨げる刺激が多いのかによって、必要な工夫は変わります。
日本小児神経学会が解説するADHDの心理社会的治療には、環境調整、ペアレントトレーニング、ソーシャルスキルトレーニングなどがあります。子どもに努力を求めるだけでなく、周囲が関わり方や環境を変えるという視点を持つと、実践的な本を選びやすくなります。
親・保護者向け:子育ての正解探しから離れる
保護者向けの本は、子どもへの声かけや家庭でのルールづくりを具体的に学べるものが便利です。ただし、「この方法を実践すれば必ず改善する」と断定する本には注意が必要です。子どもの年齢、困りごとの程度、家庭や学校の状況によって、適した支援は異なります。
親自身にも忘れ物や時間管理、感情の切り替えなどの困難がある場合は、保護者の負担を軽減する視点も必要です。中村郁著『発達障害・グレーゾーンかもしれない親の子育て』(かんき出版)は、ADHDとASDの特性を持つ著者自身の経験をもとに、子育てにおける困りごとを扱った2026年2月刊行の書籍です。定価は1,760円(税込)。子どもの支援方法だけでなく、親自身の生活や負担を見直したい人にも検討する価値があります。

【DSM-5と研究史】ADHDの分類はどう変わり、何がわかったのか
ADHDの本を読む際には、現在の診断基準だけでなく、診断名や分類がどのように変わってきたかを知ることも重要です。過去の文献と現在の医学的な解説では、同じADHDを扱っていても、分類上の位置付けや支援の考え方が異なる場合があります。
DSM-IV-TRからDSM-5へ:神経発達症群への分類変更
米国精神医学会が刊行するDSMは、精神疾患の診断基準と分類をまとめたマニュアルです。DSM-IV-TRでは、ADHDは「注意欠陥および破壊的行動障害」のカテゴリーに位置付けられていました。2013年刊行のDSM-5では、ADHDは神経発達症群(Neurodevelopmental Disorders)に分類されました。
この変更は、ADHDを単なる問題行動として扱うのではなく、発達に関係する特性と生活上の機能障害の観点から理解するうえで重要な経緯です。ただし、分類の変更だけで、ADHDの原因や診断の妥当性をめぐるすべての議論に決着がついたわけではありません。
2026年時点では、米国精神医学会は2022年刊行のDSM-5-TRを最新版の改訂版として案内しています。DSMは診断を支える基準であり、治療法をそのまま指定するマニュアルではありません。また、日本では国際疾病分類(ICD)も用いられるため、DSMだけが診断の唯一の基準というわけではありません。
2005年の発達障害者支援法と日本の支援体制
日本では、発達障害者支援法が2004年12月10日に公布され、2005年4月1日に施行されました。同法の定義には、注意欠陥多動性障害が含まれています。厚生労働省が公表する法令では、早期発見や発達支援に加え、教育、就労、地域生活などに関する支援の枠組みが定められています。
ここで押さえたいのは、DSMの分類変更と、日本の法律による支援制度の整備は別の出来事だということです。DSMは診断上の分類を扱い、発達障害者支援法は支援に関する国や自治体などの役割を定めています。両者を混同せずに読むことで、医学的な診断と社会的な支援の違いを理解できます。
NIMHの2007年研究は「脳の発達が3年遅れる」ことをどう示したのか
ADHDの脳研究として知られるのが、米国国立精神衛生研究所(NIMH)のフィリップ・ショウらによる研究です。2007年11月にオンライン公開され、同年12月に学術誌『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』に掲載されました。
この研究では、ADHDの子ども223人と、定型発達の子ども223人を対象に、合計824回のMRI画像を用いて大脳皮質の厚さの発達を分析しました。その結果、皮質の厚さがピークに達する年齢の中央値は、ADHD群で10.5歳、対照群で7.5歳でした。研究チームは、大脳の広い領域で皮質成熟の遅れがみられたと報告しています。
ただし、「ADHDの子どもは全員、脳の発達が3年遅れている」という意味ではありません。これは集団を比較した研究上の中央値であり、個人の診断を確定する数値ではありません。前頭前皮質を含む脳の発達を理解する手がかりにはなりますが、MRI画像だけでADHDかどうかを判定することはできません。
このような研究を扱う本では、研究対象の人数、測定した指標、研究結果が示す範囲を確認することが大切です。研究で示された集団の傾向と、個人に当てはまる診断上の事実を分けて読む姿勢が求められます。
【ハートマンとアームストロング】ADHDを個性として捉える視点とラベリング論
ADHDの本には、医学的な診断や治療を解説するものだけでなく、診断名が子どもの自己認識や周囲の対応に与える影響を考える本もあります。トム・ハートマンとトーマス・アームストロングは、その代表的な論者です。ただし、彼らの主張は、医学的な診断基準や専門家の合意と同じものではありません。
トム・ハートマンの「ハンターとファーマー」という比喩
ジャーナリストで作家のトム・ハートマンは、『ADD/ADHDという才能』で、ADHDの特性を「ハンター(狩猟民)」と「ファーマー(農耕民)」の比喩を通して捉える考え方を提示しました。変化への敏感さや瞬間的な判断などが、異なる環境では強みとして働く可能性があるという見方です。
この視点の魅力は、ADHDを持つ子どもや大人を、欠点だけで説明しないところにあります。学校や職場で困難が目立つ人でも、環境が変われば能力を発揮しやすくなる場合があります。本人の特性と環境との相性を考えるきっかけとして読むことができます。
一方、ハンターとファーマーという説明は、ADHDの原因を確定する医学的理論ではありません。進化的な比喩として理解することと、科学的に確立した原因説明として受け入れることは別です。脳機能や遺伝、発達などに関する医学的な知見を学ぶ本と併せて読むと、主張の位置付けが明確になります。
トーマス・アームストロングのラベリング論
心理学・教育分野の著述家トーマス・アームストロングは、診断名によって子どもへの期待や接し方が固定される危険性を指摘しています。子どもが「問題のある子」と見なされることで、周囲の対応が変わり、その結果として本人の行動や自己評価にも影響が及ぶという、ラベリングと自己成就予言の問題です。
その考え方を知るための一冊が、2025年11月刊行の『どうする子どものADHD 薬を飲ませる前の101の対処法』(柏書房、定価2,640円、420ページ)です。原著『The Myth of the ADHD Child』の改訂版を翻訳したもので、子どもの個性や環境、診断名による扱いを見直す視点を提示しています。
ただし、アームストロングの診断や薬物療法に批判的な立場を、医学界全体の合意として受け取るのは適切ではありません。ラベリングによる不利益を考えることと、診断や治療の有用性を否定することは異なります。診断名が支援につながる場合もあれば、周囲の偏見を強める場合もあるため、個別の状況を見て判断する必要があります。
この2人の本は、ADHDを持つ人の強みや尊厳を考えたい人には有益な視点を提供します。一方、診断基準や治療法を知りたい人は、医学的な入門書や公的機関の情報を並行して確認するのがおすすめです。

【薬物療法をどう読む】リタリン、副作用、子どもの声をめぐる論点
ADHDの薬物療法は、賛成か反対かという二択だけでは整理できません。症状が軽減することによって学校や家庭での生活が改善する人がいる一方、副作用や服薬への抵抗感に悩む人もいます。薬について扱う本では、効果を示す研究と、本人や家族が経験する負担の両方を確認することが大切です。
1999年のビーダーマン研究が示したこと
1999年に『Pediatrics』誌で公表されたジョゼフ・ビーダーマンらの研究は、ADHDと診断された男児を対象に、薬物治療歴とその後の物質使用障害との関連を検討しました。対象は、薬物治療を受けたADHD群56人、受けていないADHD群19人、ADHDではない対照群137人でした。
研究では、薬物治療を受けていなかったADHD群は、対照群に比べ、追跡時点で物質使用障害のリスクが高かったと報告されています。ただし、これは特定の対象集団を比較した研究です。この結果だけで、薬物治療が将来の薬物乱用を確実に防ぐと断定することはできません。治療の有無以外にも、本人の症状や家庭環境など、結果に影響し得る要因があるためです。
さらに、ビーダーマンについては、2000年から2007年に製薬会社から受け取った約160万ドルの報酬と、大学への収入報告をめぐる問題が2008年に米議会関係者の調査や報道で取り上げられました。これは研究者と製薬会社の利益相反を考えるうえで重要な経緯です。ただし、利益相反の問題があったことと、個々の研究結果が自動的に誤りになることは同じではありません。研究デザイン、再現性、独立した研究の結果を併せて評価する必要があります。
子どもの副作用と服薬への抵抗感
薬物療法をめぐる議論では、臨床試験の結果だけでなく、実際に薬を服用する子どもの経験にも目を向ける必要があります。『Clinical Pediatrics』誌で紹介された子どもたちの語りには、食欲がなくなる、悲しくなる、感覚が鈍くなったように感じる、自分が乗っ取られたように思う、といった訴えが含まれていました。
こうした報告は、薬の効果を評価する際に、子ども自身がどう感じているかを確認する必要性を示しています。ただし、個々の子どもの体験を、すべての服用者に共通する副作用や発生率として一般化することはできません。症状、薬剤、用量、年齢などによって反応は異なります。
「リタリン」とADHD治療薬は同じ意味ではない
薬の本を読む際に、特に注意したいのが薬剤名です。リタリンとコンサータはいずれもメチルフェニデートを含みますが、日本では承認された適応や管理方法が異なります。医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開するリタリン錠10mgの添付文書では、適応はナルコレプシーとされています。日本でADHDの治療に用いられるメチルフェニデート製剤は、別の徐放製剤であるコンサータです。
日本小児神経学会は、ADHDの治療を心理社会的治療と薬物療法の両面から解説しています。環境調整やペアレントトレーニングなどに加え、必要に応じて薬物療法を組み合わせ、本人の生活の改善を目指すという考え方です。
薬物療法を扱う本を選ぶなら、薬の名称、承認された適応、副作用、効果の評価方法、服薬を続けるかどうかの判断が区別して説明されているかを確認してください。古い書籍は、当時の承認状況や治療環境を反映している場合があります。現在の治療については、主治医や最新の添付文書などで確認することが必要です。
薬を使用するかどうか、また中止や変更をどう判断するかは、本人の状態や治療の目標によって異なります。読書を通じて疑問を整理し、効果が感じられない場合や副作用が気になる場合には、処方医に具体的な状況を伝えて相談することが大切です。
【プロの結論】ADHDの本選びで失敗しない5つの判断基準
ADHDの本を選ぶときに大切なのは、診断名への賛否や著者の知名度だけで判断しないことです。医学的な説明、当事者の経験、教育や子育ての実践、制度の解説は、それぞれ異なる役割を持っています。
1.読んだ後に何を変えたいのかを決める
自己理解が目的なら、症状・診断・治療を整理した本。仕事や人間関係の改善が目的なら、具体的な対処法を扱う本。子どもの支援が目的なら、環境調整や家庭での接し方を学べる本を選びます。最初から専門書を何冊も買うより、今の課題に合った一冊から始めるほうが効率的です。
2.著者の専門性と本の役割を確認する
医師による医学的な解説、当事者による体験記、教育者による子育て論では、情報の性質が異なります。体験記は本人の実感を知るうえで価値がありますが、全員に当てはまる医学的な説明とは限りません。反対に、医学的な専門書だけでは、当事者が日常生活で感じる困難を十分に理解できない場合もあります。
3.診断の説明と自己チェックを混同しない
ADHDの診断では、不注意や多動性・衝動性の症状が一定期間続いているか、複数の生活場面で現れているか、日常生活や学業・仕事に支障が生じているかなどが評価されます。症状が似ていても、睡眠障害や不安、抑うつ、学習上の困難など、別の要因が関係している可能性があります。
本に掲載されたチェックリストは、自分の困りごとを整理するための手段です。それだけで診断が確定するわけではありません。診断を検討している場合は、医療機関で詳しく評価してもらうことが必要です。
4.評判よりも、内容の具体性と根拠を見る
書店や通販サイトのレビューを比較するときは、星の数だけでなく、どの点が役立ったのか、どの読者に向いていたのかを確認しましょう。また、医学的な説明に参考文献があるか、研究の限界が説明されているか、古い情報が更新されているかも重要な判断材料です。
「薬を使えばすべて解決する」「薬は絶対に避けるべき」「この方法だけで治る」といった断定的な説明には慎重さが必要です。ADHDの本は、本人や家族が選択肢を理解するための道具であり、すべての人に同じ答えを与えるものではありません。
5.予算と読みやすさを含めて選ぶ
まず基礎を知りたいなら、1,000円前後の新書や一般向けの入門書から始める方法があります。日常生活で使える方法を探すなら、具体例やワークが多い本を選ぶと実践につなげやすくなります。専門職向けの4,000円台の書籍は、専門的な情報を必要としている場合に検討するとよいでしょう。
一冊を最後まで読み切ることにこだわる必要もありません。目次や試し読みを確認し、必要な章から読む方法でも十分です。読書の負担を増やさず、生活上の困りごとを整理することを優先してください。
【ADHDの本】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年に初めて読むなら、どのADHDの本がおすすめですか? A1:大人の自己理解が目的なら岩波明著『大人のADHD』、対人関係の工夫を知りたいなら司馬理英子監修『大人のADHD「対人関係」マネジメント』が候補です。子どもの特性を理解したい場合は、榊原洋一監修『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』から検討するとよいでしょう。
Q2:ADHDかどうかを本だけで見分けることはできますか? A2:できません。チェックリストや診断基準の解説は、困りごとを整理する助けになりますが、診断には症状の経過、複数の生活場面での状態、日常生活への影響、ほかの要因の可能性などを含めた専門的な評価が必要です。
Q3:ADHDの本は子ども向けと保護者向けのどちらを先に読むべきですか? A3:子どもの気持ちや特性を理解したいなら、子ども向けの解説書や本人と一緒に読める本から始める方法があります。家庭での声かけや環境調整に困っている場合は、保護者向けの実用書が役立ちます。必要に応じて両方を組み合わせると、子ども本人の視点と大人の支援方法を整理しやすくなります。
Q4:トム・ハートマンやトーマス・アームストロングの本は医学的な教科書として使えますか? A4:主に、ADHDを持つ人の個性や診断名による扱い、教育・子育ての考え方を知るための本として読むのが適切です。医学的な診断基準や薬物療法については、医師による入門書、公的機関の情報、専門学会の解説などを併せて確認してください。
Q5:ADHDの本の価格はどのくらいですか? A5:今回紹介した一般向けの書籍では、出版社の掲載定価で1,000円前後から2,600円台のものがあり、専門的な支援プログラムの本では4,000円台のものもあります。電子版や中古本では価格が異なるため、購入前に最新の書誌情報を確認しましょう。
Q6:子どもがADHDの薬を嫌がる場合、どうすればよいですか? A6:食欲の変化、気分の落ち込み、眠気など、本人が何をつらいと感じているかを具体的に聞き、処方医に相談してください。薬を自己判断で中止・変更するのではなく、効果と副作用、服薬の目的、ほかの支援方法を一緒に確認することが大切です。
まとめ:ADHDの本は診断名よりも、理解したい課題から選ぼう
ADHDの本を探す際は、大人の自己理解、子どもの発達支援、保護者の子育て、診断基準や薬物療法の知識など、最初に目的を整理することが近道です。2026年の新刊には、対人関係の実践書や発達障害の基礎を学ぶ本があり、定番の医学書や教育・子育て論と組み合わせることで、より多角的に理解できます。
DSM-5による神経発達症群への分類変更、2005年施行の発達障害者支援法、NIMHの脳研究は、ADHDを理解するための重要な背景です。一方、トム・ハートマンの個性を重視する見方や、トーマス・アームストロングのラベリング批判は、診断名が本人や周囲に与える影響を考える手がかりになります。それぞれの主張を医学的な事実と区別して読むことが重要です。
薬物療法についても、研究上の効果だけでなく、子ども本人の感じ方、副作用、治療環境を含めて考える必要があります。特定の立場を支持する本だけで判断するのではなく、異なる視点を照らし合わせながら、自分や家族に必要な支援を探してください。
本を読む目的は、誰かに診断名を当てはめたり、特性を無理に変えたりすることだけではありません。困りごとの理由を理解し、本人に合った工夫や支援につなげることです。その目的に最も近い一冊から始めることが、ADHDの本選びで失敗しないための第一歩です。 (出典: adhd の 本(Yahoo!ニュース))