献上とは?意味・読み方・例文を整理し、奉る・贈呈との違いとビジネスでの使い方を徹底解説
「献上とは、どのような意味の言葉なのか」「贈呈や奉るとは何が違うのか」と疑問に感じたことはないでしょうか。献上(けんじょう)は、本来、主君や貴人など身分の高い相手に物を差し上げることを意味する言葉です。一方、スポーツでは「失策で二点を献上した」のように、相手に得点を許すという反対の印象を持つ使い方もあります。
2026年現在も、献上は歴史や伝統文化を扱う文章、ニュース、スポーツ報道などで使われています。ただし、一般的な贈り物やビジネス上の記念品に対して使うと、相手を必要以上に高い立場に置く表現になる場合があります。意味だけでなく、誰に何を渡すのか、どのような場面なのかを理解することが大切です。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:献上の読み方は「けんじょう」。本来は主君や貴人に物を差し上げること。
- 要点2:贈呈は一般的な贈り物、奉るは敬意を込めた動作を表し、献上とは使い分けが必要。
- 要点3:スポーツの「点を献上する」は相手に得点を許す意味。ビジネスでは「贈呈」「進呈」などが適切な場合が多い。
【基本解説】献上とは何を意味する?読み方と本来の意味
献上は「けんじょう」と読み、名詞としても「献上する」というサ変動詞としても使われます。小学館の『デジタル大辞泉』を掲載するコトバンクでは、主君や貴人に物を差し上げること、奉ることと説明されています。また、点数を取られることや、伝統織物の「献上博多」を指す意味も収録されています。
つまり、献上の意味を理解するうえで押さえたいのは、単に物を渡す行為ではなく、相手との上下関係や敬意を強く意識した言葉だという点です。
「献」と「上」から考える献上の意味
「献」には、物を差し出す、ささげるという意味があります。「上」は、上位の相手や高い位置を連想させる漢字です。この二字から成る献上は、相手を敬い、品物などを差し出す行為を表します。
もっとも、漢字を一字ずつ解釈するだけで、言葉の使い方をすべて判断できるわけではありません。実際の意味や用法については、国語辞典の説明を基準にするのが確実です。
献上する意味と「献上品」の関係
「献上する」は、身分の高い相手などに品物を差し上げることです。例えば、地域の特産品を天皇や皇室、歴史上の君主などに差し出す場面が挙げられます。
献上する品物は「献上品」と呼ばれます。献上品には、地域の名産品や工芸品などが含まれますが、単に高価な物を贈れば献上品になるというわけではありません。誰に、どのような趣旨で贈るのかという背景が重要です。
また、献上には「献上博多」の略称という意味もあります。これは、博多織のうち、江戸時代に幕府への献上品とされたことに由来する織物の呼び名です。現代でも、言葉の意味をたどると歴史や伝統工芸につながる点が特徴です。

【実践編】献上の使い方と例文を場面別に紹介
献上の使い方を身につけるには、どのような相手に対して、何を差し出す場面なのかを意識すると理解しやすくなります。歴史的な文章や格式のある表現では自然でも、日常の贈り物では大げさに聞こえることがあります。
1.歴史や伝統文化に関する例文
献上の本来の意味に沿った、代表的な例文です。
- 「藩主は、幕府に地元の特産品を献上した」
- 「職人たちは、伝統の技で織り上げた品を献上した」
- 「使節団は、訪問先の君主に珍しい工芸品を献上した」
いずれも、相手に敬意を示しながら品物を差し出す場面です。特に歴史小説、時代劇の解説、歴史資料などでは、献上という言葉がその時代の身分関係や礼儀作法を表す役割を果たします。
2.ニュースや公的な場面での例文
公的な儀礼や伝統行事について説明するときにも、献上が使われることがあります。
- 「地域の特産品が、記念行事に際して献上された」
- 「伝統工芸品を献上する慣習について、歴史資料を基に解説した」
- 「献上品には、地域の文化や産業を伝える役割もある」
ただし、現代のニュースで「献上」と表現する場合は、実際に献上という形式が用いられたのか、単なる寄贈や贈答なのかを区別する必要があります。品物を贈ったという事実だけで、すべてを献上と呼べるわけではありません。
3.日常会話で使う場合の例文
日常の贈り物に対して献上を使うと、格式ばった印象や冗談めいたニュアンスが生まれます。
- 「この珍しいお菓子を、皆さんに献上します」
- 「今日はとっておきのお土産を献上しよう」
こうした表現は、親しい相手との冗談や、あえて大げさに言う場面なら成立します。しかし、友人に普通のお土産を渡すときや、職場の同僚に菓子を配るときには、「どうぞ召し上がってください」「お土産です」のほうが自然です。
献上は、日常のあらゆる贈り物に使える便利な敬語ではありません。相手との関係や文章の雰囲気を考えて選びましょう。
【徹底比較】献上と奉る・贈呈・進呈の違いと類語
献上の類語には、贈呈、進呈、進上、謹呈、献呈、奉呈、奉献などがあります。コトバンク掲載の『デジタル大辞泉』にも、これらの語が類語として挙げられています。ただし、意味が似ていても、相手との関係や贈る場面によって適切な表現は異なります。
| 言葉 | 意味・ニュアンス | 適した場面・例文 |
|---|---|---|
| 献上 | 主君や貴人など、特に上位の相手に差し上げる | 歴史的な儀礼、伝統行事。「特産品を献上する」 |
| 奉る(たてまつる) | 相手を敬い、差し上げることを表す謙譲語 | 古典文学、格式のある文章。「貢ぎ物を奉る」 |
| 贈呈 | 人に物を贈ること。式典など改まった場面でも使う | 表彰式、記念品の授与。「記念品を贈呈する」 |
| 進呈 | 相手に物を差し上げること。贈呈より気軽な場面にも使いやすい | キャンペーン、日常的な贈り物。「粗品を進呈する」 |
| 寄贈 | 公共性のある機関などに物品を贈ること | 図書館や学校など。「蔵書を図書館に寄贈する」 |
| 謹呈 | 謹んで差し上げることを表す改まった表現 | 書籍や作品など。「著書を謹呈する」 |
| 献呈 | 敬意や感謝を込めて作品などを贈ること | 文学、芸術。「この作品を恩師に献呈する」 |
献上と奉るの違い
「献上」は、主君や貴人などに物を差し上げる行為を表す名詞で、「献上する」と動詞の形でも使います。一方、「奉る(たてまつる)」は、相手を敬いながら「差し上げる」ことを表す動詞です。
小学館の『デジタル大辞泉』では、「奉る」は「やる」「おくる」に相当する動作について、対象への敬意を示す謙譲語として説明されています。したがって、「貢ぎ物を奉る」と「貢ぎ物を献上する」は近い意味になりますが、文法上の働きが異なります。
なお、「奉る」には、飲食する、着るなどの動作について、動作の主体を高める尊敬語としての用法もあります。「献上」と完全に置き換えられるわけではありません。
献上と贈呈の違い
最も大きな違いは、贈る相手に求められる身分や立場です。献上は、特に高位の相手に物を差し上げる場面に適しています。一方、贈呈は、記念品や花束などを人に贈る行為全般に広く使われます。
例えば、表彰式で受賞者に記念品を渡すなら「記念品を贈呈する」が自然です。地域の特産品を歴史的な儀礼に従って高位の相手に差し出すなら、「特産品を献上する」が適切な場合があります。
贈呈と献上は、どちらも物を渡すことに関係しますが、献上のほうが相手との上下関係や儀礼性を強く感じさせます。
献上の類語・言い換えを選ぶポイント
献上の言い換えは、贈る目的と相手に応じて選ぶと失敗しにくくなります。
- 式典や表彰の品物:「贈呈する」
- キャンペーンの景品や粗品:「進呈する」
- 図書館や学校への書籍・資料:「寄贈する」
- 作品や著書を敬意とともに贈る:「献呈する」「謹呈する」
- 歴史的な儀礼で高位の相手に差し出す:「献上する」
「進上」も献上に近い言葉ですが、現代の日常会話では使用頻度が高い表現ではありません。また、「奉呈」「奉献」などは、格式のある文書や特定の儀礼で見られる語です。普段のビジネス文書では、相手に伝わりやすい「贈呈」「進呈」「寄贈」を優先するとよいでしょう。

【ビジネス編】献上は仕事で使える?適切な敬語と言い換え
ビジネスで献上を使う場合は、特に慎重な判断が必要です。相手を敬う意図があっても、献上は相手を非常に高い立場に置く表現です。通常の取引先や顧客、上司に品物を渡す場面では、かえって大げさな言い方になる可能性があります。
「献上いたします」は正しい敬語なのか
「献上いたします」は、献上という動作を丁寧に述べる表現として文法上は成立します。しかし、敬語として形が整っていることと、ビジネスの場面で適切であることは別です。
例えば、取引先に周年記念の品を渡す際、「記念品を献上いたします」と伝えると、相手を君主や貴人のように扱っている印象になりかねません。このような場面では「記念品を贈呈いたします」「ささやかですが、記念品をお贈りいたします」とするほうが自然です。
ビジネスで使える例文と言い換え
実務では、次のように場面ごとに表現を選ぶと、相手に意図が伝わりやすくなります。
- 取引先への記念品:「日頃の感謝を込め、記念品を贈呈いたします」
- 顧客へのプレゼント:「ご来場のお客様に記念品を進呈いたします」
- 上司への贈り物:「心ばかりの品ですが、お受け取りいただけますと幸いです」
- 学校や公共施設への資料提供:「参考資料を寄贈いたします」
- 重要な来賓への伝統的な贈り物:実際の儀礼や組織の慣例に沿って「献上」を使用するか判断する
ビジネスにおける献上の使い方で大切なのは、敬意を強調すること自体ではなく、相手や状況に合った敬意を示すことです。通常の取引関係であれば、献上よりも贈呈や進呈のほうが誤解を招きにくいでしょう。
献上を使わないほうがよいケース
一般的な社内表彰、取引先への手土産、顧客向けキャンペーン、上司への誕生日プレゼントなどは、通常、献上を使う必要のない場面です。こうした状況では「贈る」「お渡しする」「贈呈する」など、目的に合った言葉を選ぶことをおすすめします。
また、献上は相手が目上であれば誰にでも使える万能の謙譲表現ではありません。社内の上下関係だけを理由に、上司に物を渡す行為を「献上」と表現するのは一般的ではありません。相手の立場だけでなく、贈答の性質や慣例も考慮する必要があります。
【スポーツ用語】「点を献上する」とは?本来の意味との違い
献上には、スポーツで相手に得点を取られることを表す用法があります。「失策で二点を献上した」という例文は、コトバンク掲載の『デジタル大辞泉』にも記載されています。ウィクショナリー日本語版でも、スポーツなどで相手にみすみす点数を取られてしまうことが、献上の意味として説明されています。
この用法では、物を敬意を込めて差し出すという本来の意味とは異なり、相手に点数を与えてしまったという否定的なニュアンスが生まれます。
「点を献上する」の具体的な意味
例えば、野球で守備側の失策が原因となって相手チームに得点を許した場合、「失策で一点を献上した」と表現できます。サッカーやバスケットボールなどでも、守備のミスや不用意なプレーによって相手に得点を許す場面で使われることがあります。
例文を挙げると、次のとおりです。
- 「守備のミスから、相手チームに先制点を献上した」
- 「不用意なパスを奪われ、決勝点を献上してしまった」
- 「終盤の失策で二点を献上し、試合の流れが変わった」
いずれも、相手が正当に得点したという事実だけでなく、自分たちのミスや不注意が得点につながったという含みがあります。
なぜスポーツでは「献上」が使われるのか
「点を取られた」と表現する場合、得点されたという結果を伝えることが中心です。一方、「点を献上した」と表現すると、自分たちのミスによって相手に得点の機会を与えた、あるいは防げたはずの点を許したという評価が加わります。
そのため、スポーツニュースや試合解説では、守備の乱れ、パスミス、失策、判断ミスなどを振り返る際に使われます。ただし、献上という言葉が使われたからといって、必ずしも得点した側に実力がなかったという意味にはなりません。プレーの結果を、失点した側の視点から強調する表現です。
また、スポーツの「献上」は、相手に得点を許すことを指す慣用的な使い方です。実際に相手へ何かを贈ったわけではなく、贈答の意味での献上とは文脈を分けて理解しましょう。

【歴史的背景】献上の文化はいつから?献上博多との関係
献上は、現代の辞書に載る意味だけでなく、日本の歴史における身分制度や贈答儀礼とも深く関係しています。主君や貴人に品物を差し出す行為は、物の受け渡しにとどまらず、敬意や社会的な関係を示す役割を担ってきました。
古典資料にも見られる献上の用法
コトバンク掲載の『精選版 日本国語大辞典』では、献上の古い用例として、平安時代中期ごろに成立したとされる『明衡往来』が挙げられています。さらに、1563年の『玉塵抄』にも用例が記録されています。
こうした記録から、献上という言葉が近代になって突然生まれたものではなく、古くから物を差し出す行為を表す語として使われてきたことが分かります。歴史資料に登場する献上は、当時の政治的・社会的な関係を理解する手がかりにもなります。
江戸時代の献上と身分秩序
江戸時代の武家社会では、大名から幕府へ品物を献上する慣習がありました。献上する品目や作法は、相手との関係や家格などに応じて定められていたとされます。贈答は、単なる個人的な好意の表現ではなく、身分や秩序を確認する儀礼の一部でもありました。
科学研究費助成事業の研究成果報告書でも、近世の献上について、大名から幕府への贈答や、朝廷・公家社会との関係を含めて研究されています。こうした研究は、献上が物品の移動だけでなく、政治や社会の仕組みと結びついていたことを示しています。
献上博多織に残る歴史
献上の歴史を現代に伝える代表例が、福岡県福岡市を中心とする地域に伝わる「献上博多織」です。文化庁の文化遺産オンラインや国指定文化財等データベースによると、博多織の基礎は室町時代末ごろに確立し、江戸時代には黒田藩が保護・奨励しました。帯地などを毎年幕府への献上品としたことから、「献上博多」の名称が生まれたと説明されています。
献上博多織は、独鈷や華皿を図案化した特徴的な縞模様を持つ絹織物です。その制作技術は、2003年7月10日に重要無形文化財に指定されています。
ここで注目したいのは、「献上」が単なる古い言葉ではなく、工芸品の名称や地域の文化的な価値にも結びついていることです。献上という語を理解することは、日本の贈答文化や伝統工芸の背景を理解することにもつながります。
【献上とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:献上とは簡単に言うと、どういう意味ですか?
A1:献上とは、主君や貴人など身分の高い相手に物を差し上げることです。現代では、歴史的な儀礼や伝統文化の説明などで使われます。また、スポーツでは相手に得点を許すという別の意味があります。
Q2:献上の正しい読み方は何ですか?
A2:「けんじょう」と読みます。「献上する」は、主君や貴人などに物を差し上げるという意味のサ変動詞です。
Q3:献上と贈呈は、どちらを使うべきですか?
A3:相手や場面によって使い分けます。特に高位の相手への儀礼的な贈り物なら「献上」、表彰式や記念行事で品物を贈るなら「贈呈」が適しています。一般的なビジネスの贈答では、贈呈や進呈を選ぶほうが自然な場合が多いでしょう。
Q4:ビジネスで「献上いたします」と使っても問題ありませんか?
A4:文法上は成立しますが、相手を非常に高い立場に置く表現なので、通常の取引先や上司に対しては大げさに聞こえることがあります。「お贈りいたします」「贈呈いたします」「お受け取りいただけますと幸いです」など、状況に合った表現がおすすめです。
Q5:「点を献上する」とは、どういう意味ですか?
A5:スポーツで相手に得点を許すことを意味します。特に、自分たちの失策や判断ミスなどによって失点した場面で使われます。「相手に一点を献上した」は、単に失点したというだけでなく、防げたはずの得点を与えてしまったというニュアンスを含みます。
まとめ:献上の意味を理解し、場面に合った言葉を選ぼう
献上とは、主君や貴人などに物を差し上げることを意味する言葉で、読み方は「けんじょう」です。コトバンク掲載の『デジタル大辞泉』では、本来の意味に加え、スポーツで相手に点数を取られることや、献上博多の略称も紹介されています。
献上と似た言葉には、奉る、贈呈、進呈、献呈、寄贈などがありますが、それぞれ意味や使われる場面が異なります。特にビジネスでは、相手を必要以上に高い立場に置かないよう、贈呈や進呈などの表現を選ぶことが大切です。
また、「点を献上する」というスポーツ用語は、相手に得点を許した場面を表します。本来の贈答の意味とは異なるため、文脈から判断する必要があります。
言葉を正しく使うための判断基準は、誰に対して、何を、どのような目的で差し出すのかという三つの視点です。歴史的な儀礼なのか、一般的な贈答なのか、スポーツの失点なのかを見極めれば、献上という言葉の意味と使い方を適切に理解できます。 (出典: 献上 と は(Yahoo!ニュース))